西条の「棚田」の現状を知ろう(前編)

私たちDOLsの主たる目的は西条の「人工林・竹林・棚田」に光を当て、読者とともにそれらを活用してクリエイティブを発揮することである。
例えば棚田。道が狭い、傾斜が急である、形状が整っていない、重機が入らないなど、現代の効率化された農業では棚田は営農条件不利であり、かつ人口の都市部流入による過疎化に伴い多くの棚田が耕作放棄され、集落の人口自体が激減し、集落の存続が危ぶまれる地域もある。
しかし一方、2020年春にオープンした棚田検索サイト「棚田NAVI」を運営するNPO法人棚田ネットワークによると、棚田は「訪れる多くの人が『懐かしい』と感じる日本の原風景」であり、また「昼夜の温度差が大きくお米が美味しい」だけでなく、「生態系の宝庫」であり「地滑りや洪水、表土の流出を防ぎ、地下水を蓄える」など「多面的な機能」がある。これらのことから同サイトは「自然が無理なく調和した棚田のシステムには、私たちが未来を築くヒントがたくさん詰まっている」としている。
急峻な四国山地、西日本最高峰の石鎚山を抱える愛媛県西条市にも、棚田が存在する。人口10万人都市の市街地から車で20分ほどの棚田にはどんなポテンシャルが秘められているだろうか。
西条市農水振興課にヒアリング

DOLs代表山中裕加とともに西条市役所を訪れ、農水振興課に「棚田」を含めた西条市の農業をとりまく状況を聞いた。

左から 眞鍋聡志主査、日野智之係長、田中剛課長
冒頭に山中が想いを語る。
「わたしたちが棚田に注目するのは、棚田によって貯水など水資源への影響があるからです。観光名所としての棚田はもちろん存在していて、農業をする場所としては効率的では無いが、棚田があるからこそ里山の自然環境が守られていると感じます。そんな棚田を新しい目線で使うことができないかと考えています。商品の素材として使うというよりは、例えばお米をきちんと作ったり、周辺環境もいいので、プロダクトというよりはそれらを生かしてサービスというイメージ。例えばみんなで棚田でブランド米を作る体験とか。そういう可能性を探っています。」
筆者も続ける。「棚田のある地域は限界集落に近いことろも少なく無いと思っています。そういったところに対して棚田を活かして何かできないかとも考えています。」
さて市役所にヒアリングした西条における棚田の基本的な数値は以下の通りだ。
[棚田地区]:千町(せんじょう)、下津池(しもついけ)、黒谷(くろだに)、天川(あまかわ)[面積]:各種調査方法がまちまちであるため、西条市として公式に把握している数値は無い。
参考数値として愛媛県HPより 千町:40ha(ヘクタール)、下津池:不明、黒谷:1.7ha、天川:2.2ha
[棚田での農家数]:千町:23戸、下津池:4戸、黒谷:10戸、天川:5戸(千町、下津池、黒谷は2010年農林業センサスより、天川は中山間地域等直接支払制度より)
特に規模の大きい千町は、かつてその枚数の多さから、東予(愛媛県東部地域)の千枚田と呼ばれるほどであった。
後編に続く
皆尾裕
最新記事 by 皆尾裕 (全て見る)
- 西条の森のようちえん(後編) - 2020年7月20日
- 西条の森のようちえん(前編) - 2020年7月13日
- GLOCAL MISSION TimesにDOLs代表・山中裕加登場 - 2020年6月23日