西条の「人工林・竹林」の現状を知ろう(後編)

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前回の「西条の「人工林・竹林・棚田」の現状を知ろう 棚田編」は西条市農水振興課に棚田についてヒアリングを行った。棚田の多くは山あいに存在し、それゆえに発揮されてきた棚田の機能や、一方で山あいであるからこその棚田での営農の難しさを学んだのであるが、今回はその「山」特に人工林と竹林にスポットを当てる。当記事では後編をお届けする。前編はこちら。

西条市の人工林・竹林の現状はどうなっているのか。今回は西条市役所林業振興課にヒアリングを行った。(前編より)

 取材に応じてくれた西条市林業振興課のお二人
左から髙橋修平課長、佐伯大輔さん

人工林・竹林の整備の必要性と必要なもの

さて西条市の人工林・竹林の整備はなぜ必要なのだろうか。そしてその整備には何が必要だろうか。「なぜ」については、西条市の発行する広報紙2019年10月号での特集「森が教えてくれること」の中での西条自然学校・山本貴仁理事長の言葉を借りれば、「水源の森をよみがえらせる」ためである。山本氏は近年西条の山の保水力が下がっていると認識しており、放置された人工林が起こす山崩れの可能性を示唆している。西条の山の傾斜は急で、木材の伐採や搬出に不利であり、林業振興だけでは山の管理に限界があるため、人の手が届かない人工林を天然林に戻すことも必要と語る。

ここで整備に必要な「何か」について、「天然林化」というキーワードが浮かび上がる。

同じ特集記事内で紹介された個人林業従事者であり移住者でもある平川絢也氏も現場から声をあげる。「西条の山は傾斜が急で管理するのはとても危険。林業経営が困難な所では、常緑広葉樹を中心とした天然林仕立ての森に戻すことも考えないといけません。今の世代が勝負ですね。」

林野庁が2020年4月に発表した「森林・林業・木材産業の現状と課題」においても、林地生産力が低く、急傾斜で、車道からの距離が遠いなど社会的条件も悪い人工林は、モザイク施業(※)や広葉樹導入等により針広混交の育成複層林に誘導するのが望ましい森林の姿であるとしている。

(※)モザイク施業とは、人工林を小面積(概ね1ha)でモザイク状に伐採し、多様な林齢や林の様相へ育成していく方法

現在のところ、林業経営に適さない人工林の天然林化を推進するような西条市の施策はない。しかし先の森林経営管理制度で、そのような山の地主の中には、意向調査の中で山を寄付したいという声もあがることが予測されている。西条市林業振興課髙橋修平課長は「林業という経済活動と環境保全・国土強靭化の両立が必要だ。採算の合わないところは管理コストの低い樹種を増やし、ひいては天然林化を進めないといけない。もし寄付したい地主がいるならば、その受け皿となる行政以外の事業者や団体に期待している。天然林化をすすめる団体があるとすれば、事業を活かしたやりかたと、自分たちのやりかたとを両立してもらえれば良い。」と話す。

先の山本氏は記事内で天然林化について「今は愛媛大学や植物研究者などと天然林復元のための調査を進めている段階です。水を守るためには健全な森林が必要。森を守り、水を守るためにも、できることをやっていきたいですね。」と語る。

人材不足解消に向けて

西条市林業振興課髙橋課長は林業活性にも、森の保全にも、とにかく「人材が不足している」と話す。

例えば日本の木材自給率、国産材の需要ともに2002年に底となった以降回復しているのだが、西条市は横ばいとなっている。森林資源は豊富にあっても人材不足で手が出せないのが現状だ。

西条市の場合は臨海部に製造業を中心とした求人が確実にあることも影響しているだろう。

全国の雇用状況はどうか。先述の林野庁の「現状と課題」によると、「林業従事者は減少傾向で推移し、2015年で4.5万人。高齢化率は依然として全産業平均と比べると高いが、全産業の若年者率が低下する中、林業従事者についてはほぼ横ばいであり、平均年齢は若返り傾向。」としている。

愛媛県内でも林業就業者数は平成14年の総数1,243人(新規48人・既就業者数1,195人)のうち 60歳以上535人(43%)に比べ、平成26年は、総数1,007人(新規49人・既就業者数958人)のうち 60歳以上272人(27%)となっている。総数が減りつつも60歳以上の割合も減っているのは、林業の過酷さ、肉体的なしんどさも影響しているように思われるが、一方で若返りの事実はこれからの若者に選ばれる職業となる可能性を感じさせる。

実際西条市に拠点を置くいしづち森林組合でも、2020年の4月地元の高校生4人が新規採用されているし、同じくいしづち森林組合には県内でも数少ない「林業女子」も現場でバリバリ働いている。

奇しくもこれからアフター・コロナの時代を迎える。人が密を避け疎を目指すのであれば、人が再び山を目指しだす日のも近いのかもしれない。

髙橋課長は言う。「(後期基本計画掲載の市民アンケートで)唯一無関心領域なのが林業施策である。まずは市民に関心を持ってもらい、これを解消したい。森林資源は豊富にある。木材だけでなく別の形で使う起業家が増えれば面白い。」

豊富にある森林資源を整理し、クリエイティビティを刺激し、人を集わせる。林業にとって人材不足を解消すること、これはすなわち我々DOLsに課された使命でもあるのだ。

(関連リンク集)

第2期西条市総合計画 後期基本計画(第2期西条市まち・ひと・しごと創生総合戦略)
https://www.city.saijo.ehime.jp/soshiki/seisakukikaku/2sougou-kouki-sakutei.html#3

林野庁 森林・林業・木材産業の現状と課題
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/genjo_kadai/

タウンミーティング(大保木地区) 議事録
https://www.city.saijo.ehime.jp/uploaded/attachment/40517.pdf

「広報さいじょう」2019年10月号
https://www.city.saijo.ehime.jp/soshiki/citypromo/koho201910.html

林野庁 森林環境税及び森林環境譲与税
https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/kankyouzei/kankyouzei_jouyozei.html

林野庁 森林経営管理制度に係る事務の手引の概要
https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/keieikanri/attach/pdf/sinrinkeieikanriseido-15.pdf

西条市水源の森事業
https://www.city.saijo.ehime.jp/soshiki/ringyo/suigennomori.html

愛媛県林業政策課資料
https://www.pref.ehime.jp/h35700/1461/1_sanson/plan/documents/siryou23-.pdf

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