西条の「人工林・竹林」の現状を知ろう(前編)

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西条市「まちづくり市民アンケート」から

前回の「西条の「人工林・竹林・棚田」の現状を知ろう 棚田編」は西条市農水振興課に棚田についてヒアリングを行った。棚田の多くは山あいに存在し、それゆえに発揮されてきた棚田の機能や、一方で山あいであるからこその棚田での営農の難しさを学んだのであるが、今回はその「山」特に人工林と竹林にスポットを当てる。記事は前後編に分かれる。

西条市は、令和6年度までの期間における市の総合計画(第2期西条市総合計画)の見直しを実施し、残り5年間の計画をまとめ、今年3月に第2期西条市総合計画後期基本計画(第2期西条市まち・ひと・しごと創生総合戦略)として発表した。人口減少・少子高齢化が進展する中、西条市版SDGsを推進し、特に「健康寿命の延伸」「働きがいの創出・経済活力の維持」「経営感覚のある行財政運営の実践」に優先的に取り組み、持続可能な西条市の実現を目標としている。

計画の全文は市のホームページから読むことができるが、ここで注目したいのが、令和元年度に実施した「まちづくり市民アンケート調査」の結果である。西条市の取り組む各施策への市民の関心度(縦軸)と満足度(横軸)マトリクス表に結果を落とし込み、以下の通り4つの領域に区分している。

第2期西条市総合計画後期基本計画より
(関心度・満足度共に高い)→満足領域 (関心度高く満足度低い)→不満足領域

(関心度低く満足度高い)→無意識領域 (関心度・満足度共に低い)→無関心領域

西条市の実施するほとんどの施策が満足領域に入っているものの、商業の振興、新規産業の創出、などといった西条市の得意とする農水や工業以外の、いわばサービス業などの分野の施策が不満足領域に入っている。また唯一無関心領域に入っているのが、今回取り上げる「林業の振興」なのだ。

しかしここには少なからずギャップが存在する。西条市の魅力を形容する「うちぬき水」に関する、例えば上下水道施策については関心は高く満足度も高いが、一方で水源となる林業が達成する山の整備には関心がないのである。あるいは山も含めた自然環境保護には関心があっても、それと林業とが密接につながっていることが意識されてないように思われる。

西条市の人工林・竹林の現状

西条市の人工林・竹林の現状はどうなっているのか。今回は西条市役所林業振興課にヒアリングを行った。

木材需要喚起に期待されるCLT技術で作られた“みきゃん”
西条市役所ロビー

まず西条市における人工林・竹林の面積とその割合だが、西条市の森林面積は愛媛県内でも広く、愛媛県の県庁所在地・松山市のおよそ倍、山がちな南予(県南部)地方の大洲や宇和島と同程度の35,478ha(ヘクタール)である。(2015年農林業センサスより)

そのうち民有林27,897haの人工林は2020年4月の愛媛県の地域森林計画書データで19,584haであり、西条市の森林全体の55.2%、また民有林の70.2%を占める。全国の人工林の割合は41%(林野庁)であるので、それを上回っている。

また西条の民有林かつ人工林(19,584ha)のうち個人や企業の所有する私有林(私有林人工林)が16,091haで82.2%を占めている。

最後に、西条市の森林の21.4%である国有林のうち、人工林がおよそ4割であるが、国有林の多くは石鎚山系の高い標高に分布しているため、天然林の割合が高いのである。

西条の天然林に含まれる竹林は220haで、これは民有林全体の0.8%である。面積は少ないが、生育が早く放置すると付近への悪影響が多い。日本全体の話として、食用需要における輸入が増え、また食生活自体の変化によって需要自体が減っていることが要因として考えられる。

山林はもとより、里山でもエネルギー革命以降、薪の需要が減り、したがって山の手入れが減り、竹林が放置されることで荒れているのである。

なお木材の流通に関して、近頃西条インターチェンジ近くの木材市場が閉鎖されたが、これは流通形態が変わったためでむしろ流通量は増えている。市場を通じずコストを下げる為、直接契約が増えたからである。

また市場に代わる在庫の置き場として愛媛県森林組合連合会といしづち森林組合によって円山森林公園付近に貯木場が整備されているところである。

次に西条の林業生産額だが、広大な森林面積にもかかわらず他産業、特に臨海部の工業に比べ割合が低い。西条市の市内総生産3,659億円のうちの林業出荷額は0.036%、1億3千万円という規模である。農業79億円、水産業8億7千万円であり、他の一次産業と比較しても低くなっている。

また他市町と比べても例えば同じ愛媛県内の久万高原町(私有林かつ人工林面積31,940ha)では町内総生産303億円の8%の25億円が林業であり、西条市の林業の規模は小さいと言えるだろう。

西条市の林業振興施策

さて林業振興課は総合計画内で令和6年度を目標とした取り組み施策に、林業経営の安定化の支援や、森林の持つ多面的機能の維持・発展を挙げている。

具体的には、森林経営計画作成面積の増加、森林環境譲与税(※)を活用した森林経営管理事業の実施面積の増加と、水源の森整備事業の実施面積の増加などである。

2019年4月に始まった森林経営管理制度とは、適切な経営管理を実施していない森林について、これまで所有者と民間の管理事業者とで個別に取引されていたものに行政が仲介に入るものだ。まず市町村が森林所有者に、所有する森林を今後どのように経営管理したいか、意向調査を行う。所有者が市町村に経営管理を委託したいとする場合は林業経営に適した森林を、市町村が林業経営者に経営管理を再委託し、林業経営に適さない森林は、市町村が自ら森林の管理を行うとするものである。

国の試算では国全体の森林の1/3で集積化・集約化され適切な経営管理が行われているとしているが、西条市の場合は経営管理されている山が私有林かつ人工林16,091haのうち3,565haであり、1/3を切っているのだ。西条市では現在のところ森林環境譲与税を活用した森林経営管理事業は未着手。現在、西条地区の山間部において国土調査が実施されており、今後、所有者や境界が明確になるに伴い、実施面積の増加が求められる。

(※)パリ協定の枠組みの下における我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るための森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から設けられる税制度が森林環境税(令和6年度から施行)。これを原資の一部とし前倒しで令和元年度から施行され、国から市町村に譲与されるのが森林環境譲与税。

一方、水源の森整備事業とは河川や渓流沿いの放置林を災害に強い健全な山に作り変えることを目的に、西条市内の主要河川や渓流沿いの放置林を間伐して整備し、森林の中に光を取り入れ、下草や低木の植生を促して、保水力を高くするのだ。令和6年度までに700haの整備を目標としていて、平成30年度の時点で255haが整備済みだ。

西条市ホームページにて公開されている西条市大保木地区市長タウンミーティング議事録(令和元年11月9日)によると、当事業は「平成26年から700ヘクタールを目標に10か年計画でやっている。最初の4年間で加茂川水系、平成30年、31年(令和元年)で谷川水系、来年度(令和2年度)からは中山川、大明神川水系で主要河川の両岸約100メートルを間伐することによって下層植生を増やしたり土砂の流出を防いだりして水源かん養機能を高める。森林環境譲与税の使用目的の中に公的森林整備があり、経済林ではない山に交付金を入れて森林整備できるようになった。これまでの西条市の取り組みと同じようなことという意味では、森林環境譲与税に先駆けてそういった取り組みを進めている。」とのことである。

また木材の活用促進にも取り組む。CLT(Cross Laminated Timber クロス・ラミネイティド・ティンバーの略称で、ひき板を並べた層をクロスに重なるように板を貼り合わせた、木の塊のような分厚い素材)を使用した建築物の増加と、西条産材活用促進事業の件数増加を目標とする。西条産材活用促進事業とは、住宅の新築時に施主がその使用する材木に、製材所や森林組合の証明を受けた西条産材を使用する場合補助金が出るというものだ。補助を受ければ他の産地の木材使用時よりコストが高くなることはほとんど無いという。

後編に続く
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(ここからRAP) 🎤見逃せない資源・人工林 🎤竹林・棚田こそが貴重品 🎤になるここ西条D-O-L-Sに 🎤任せる未来にキープオンSDGs ひぇ! 四国在住フリーランスです。 【映像】映像製作(制作)支援/動画編集 【声】ラジオパーソナリティ/司会 【書】ライター/編集/取材コーディネイト 【企画】広報/ラップ広告/コピー/構成 等々承ります。

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