西条の森のようちえん(前編)

晴れの日も風の日も雨の日も。
新たな命が芽吹く春も、川の水が気持ちいい夏も、枯葉の絨毯が広がる秋も、一面雪景色の冬も。
いつでも子供達は目を輝かせて森へと進み、葉っぱや生き物に足を止め、思い思いに遊び出す。
怖がっている子には別の子が手を差し伸べる。ケンカをしたら木の実を渡して仲直り。
大人たちは極力見守り、子供達の可能性を信じて、自ら成長するのを期待する。

読者の皆さんはそんな「森のようちえん」をご存知だろうか。
北欧、デンマーク・スウェーデンの母親たちが自らの子と森の中で過ごし、豊かな自然環境の中で子育てをしたいと始めた野外保育がはじまりとされる、市民の自主的な教育活動で、広く定義するならば「自然体験活動を基軸にした子育て・保育、乳児・幼少期教育の総称」(森のようちえん全国ネットワークWEBサイトより引用)である。森のようちえんは、ドイツなどで盛んとなり、やがて中国、韓国など世界に広まった。
日本でも1990年代から徐々に活動が広がり、現在では全国の「森のようちえん」の交流を目的に組織された「森のようちえん全国ネットワーク」に約140の組織が団体会員となっている。西条市のある愛媛県でも西予、松山、新居浜にそれぞれ活動団体がある。
自身でも月に数回森のようちえん活動を「ぎふ☆森のようちえん」として開催する今村光章氏の編著書「森のようちえん 自然のなかで子育てを」によると、全国にある日本の森のようちえんの理念は以下のようにまとめられる。
(1)自然と親しむ・・四季折々の自然の営みを五感で感じ、豊かな感性を育む。
(2)遊びこむ・・比較的ゆるやかな時間の制限のなかで、また、ほとんど空間的には制限されていない場所で、思い切り自由に遊ぶ。心と体のバランスのとれた発達を促す。
(3)自主性を養う・・子供の力を信じ、子ども自身で考え行動できる雰囲気をつくる。
(4)友だちや大人、動植物とかかわる。
(5)保育者と保護者が、ありのままの幼児の姿を受け入れ、幼児の育ちを信じて待つ姿勢を重視する。ともに育ち合う。
全国の森のようちえんでこれらの理念を元に活動を行なっている。
そして森のようちえん活動を行う団体はこちらも今村氏によると大きく分けて3つの形態に分かれる。園舎などを持たず、森のようちえん活動行事に都度参加者を募集して行う「行事型」。日頃保育活動を行なっている団体が定期的に森へ向かい活動を行う「融合型」。最後に、基本的に毎日森に向かう「通年型」だ。

森のようちえんについて、イメージができただろうか。とはいえ、全国のどの森のようちえんも同じものは無い。是非読者の皆さんの近くにも森のようちえんがあるのか、そしてどのような形態で活動し、その理念はどのように記載されているか確かめて欲しい。
さて森はそれ自体が古くから信仰の対象であった日本。奇しくも西条市の誇る山岳信仰の山、石鎚山を中心とする石鎚山系には、堂ヶ森、ニノ森、瓶ヶ森、西黒森など森の名を持つ山が多い。西条の地に住む人々とって神は、急峻な山であり、森であっただろう。
そんな西条市にも実は市内の森を舞台に「森のようちえん」の活動を行う団体がある。その名はズバリ「西条森のようちえん」だ。現在のところWEBサイトを持たず、Facebookページで情報を発信している。
次回後編では、そのFacebookページの記事を元にDOLsでも活動を紹介する。

皆尾裕
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